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しくじった手打ち 〜高知県の怪談〜

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画像はイメージです。

 幕末の土佐藩に、吾兵衛という首切り役人がいた。無口な四十男ではあるが、仕事は確実に遂行する役人であったという。

 当時、城下を騒がす怪盗に弥六という者がおり、この怪盗は神出鬼没で土佐の金持ちから大金を奪っては大坂や京都で武士に変装して豪遊していたという。

 全く手がかりがつかめなかったのだが、土佐山田の子分の家にいる所を通報され、大勢の役人に取り巻かれて逃げ道を失った。弥六は2,3人を切り捨てて窮地を脱しようとしたものの、現場に居合わせた力士に組付されて捕まえられる事となった。

 物盗りや人殺しなど、弥六の重ねた罪状は多かったため斬首刑に処される事になったのだが、吾兵衛が首をはねようとした時、どういうわけか太刀が外れて肩口に入ってしまった。44人もの罪人の首をはねてきた彼にしてはありえないしくじりであり、当人も当惑したのか、更に手が滑ってしまう。吾兵衛は三度目の太刀によってようやく弥六の首を落とすことができた。

 これまで失敗などしたことのなかった吾兵衛はひどく落ち込んだが、そのせいか次第に屋敷内で奇妙な言動を見せるようになった。屋敷で勤めていたお鈴という女中に斬りかかり、手打ちにしてしまったのだが、彼女の姿が弥六に見えてしまったのだという。

 この後、屋敷の中には弥六とお鈴の生首が出るようになった。井戸のつるべを上げると桶に弥六の生首が入っている。天井から二人の生首が下がっている、などなど…気味悪がった使用人達は一人、また一人と去って行き、吾兵衛もまた廃人のようになって死んでいったという。

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