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殴打、溺死、首つり、超リアルな事故物件に住む大阪のお笑い芸人

 今月大きな話題となった、千葉県内にそびえ立つ超豪邸の事故物件。未解決のままで、室内は居住者の生活が残った状態で、756万円でオークションに出品された。そして、落札価額11,111,100円で買い手がついたというから、驚きだ。殺人事件の現場は、玄関。住むには支障がないのでは? という意見もあるが、常人には到底チャレンジできない案件だ。

 しかし、広い芸能界には、そんないわく付きの部屋に住むことを生業にしている芸人がいる。松竹芸能所属のピン芸人・松原タニシだ。大阪を拠点にしており、食うに困るマイナー芸人。そんな時に舞い込んだ仕事が、事故物件に住んで1日中カメラを回し、幽霊が映る、心霊現象が起こるなどの動きがあれば、ギャラが発生するという企画だった。これを機に、特番『稲川淳二の怪談グランプリ』(関西テレビ)などに呼ばれるようになり、夏は怪談ライブやイベントで引っ張りダコ。以降、3年で3軒の事故物件に渡り住んだ。

 もっとも印象的なのは、2軒目。そこは、息子が母親を殴打したあと、浴槽に沈めて殺した事件が起こった部屋だ。2DKで家賃が2万6,000円。敷金も礼金もなく、破格な安さだった。2部屋あったため、後輩のコンビ芸人であるゆんぼだんぷ・カシューナッツと同居した。松原は、死んだ母親の部屋。部屋の畳をめくったら、血痕と思しき形跡が残っていた。息の根を止められた浴室は、おそらく鏡があったであろう箇所が、セメントで塗り固められていた。

 入居したその日の夜から、異変が起こった。眠っているときに友人から携帯に留守電が入り、メッセージを聞くと、変な雑音がして聞きづらい。朝になって友人に連絡を入れると、「かけてないよ」の返事があった。似たようなことは、何度も続いた。その雑音は、息子が母親を湯船につけた時の「ゴボゴボ」だったのか…。そう考えてからしばらくは、入浴するのを躊躇した。さらに、眠っている時には、女性の悲鳴がかすかに聞こえることもあった。

 ある日、カシューナッツが不在のときに帰宅すると、目の前に中年の女性が座っていた。松原は瞬時に溺死させられた母親の霊だと思ったが、それにしても、あまりにも生身すぎる。怖くて体が硬直すると、振り向いた女性は言った。「いつもお世話になってます。カシューナッツの母です」。芸人としてのネタも、しっかり持っているようだ。

 現在は、ロフト付きの超美室に住んでいる。真っ白な室内は、おしゃれ空間を満喫できそうだ。しかし、ここは恋人とケンカしたことがきっかけで、女性が首つり自殺をしたマンションの一室。その現場となった玄関からは、今でも不思議なラップ音がしょっちゅう聞こえてくるという。

*写真イメージ

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