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2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(埼玉西武編)

 投打ともに、課題は『三振と四球』だろう。
 2014年の埼玉西武ライオンズは開幕から3連敗を喫し、交流戦途中の5月25日に伊原春樹監督(66)が自ら辞任を申し出た。田辺徳雄・打撃コーチ(48)が監督代行に昇格したものの、チームは5年ぶりのBクラス転落となってしまった。
 低迷の原因だが、まず、13年には牧田和久(30)、岸孝之(30)、十亀剣(27)、野上亮磨(27)の4人の先発投手が規定投球回数に達したが、14年は岸、牧田だけ。思い返せば、不安視されていたのは救援陣の方だった。クローザーの適任者が不在だったためだが、こちらは2年目の高橋朋己(26)が現れ、29セーブを稼いだ。もともと、高橋は『奪三振率の高い左腕』であり、大きな期待が寄せられていた。

<イニング別年間失点数>
6回=86失点

 チーム全体の総失点は『600』だから、14%強を“6回”で失った計算になる。とはいえ、致命的な人材難とは言えない。
 チームトップのホールドポイントを稼いだウィリアムスは退団したが(26H)、2年目の増田達至(26)が25ホールドポイントを稼いでいる。田辺監督は高橋、増田を軸にして救援陣を再編できると判断したのではないだろうか。

 ドラフトでは、高校屈指の好右腕・高橋光成(18=前橋育英)を筆頭に、佐野泰雄(22=平成国際大)、玉村祐典(19=敦賀気比高卒)の3投手を指名したが、全員、先発タイプである。オフの補強を見ても、先発タイプの補充が目立つ。新外国人投手のウエイド・ルブラン(30)、ウェード・レブランク(30)、21U野球ワールドカップ・台湾代表の右腕、郭俊麟(22/カク・シュンリン=前国立台湾体育運動大学)と、前台湾・義大ライノズの右腕、エスメルリング・バスケス(31)がそれだ。また、台湾プロ野球・ラミゴでセーブ王にも輝いたミゲル・メヒア(31)を獲得したのも、「高橋、増田」への期待感が重なっている。メヒアが日本でもクローザーができるのなら、左腕の高橋をセットアッパーに配置換えできる。先発投手に息切れし始める“魔の6回”、走者を得点圏に置いた場面で『奪三振率』の高い高橋を投入すれば、試合主導権を失わずに『増田-メヒア』の継投ができる。
 また、西武フロントが今オフの補強でもっとも『自信』を持って獲得し、期待を寄せているのが、左腕・レブランクだ。

 西武は左の先発投手が少ない。菊池雄星(23)が23試合に先発したが、5勝11敗と結果を出していない。小石博孝(27)、武隈祥太(25)もチャンスを生かしきれなかった。レブランクは対右打者の被打率は2割6分1厘と低い(メジャー通算)。「2位の左腕・佐野がローテーション入りできなければ現状維持」という状況にしなかったのは大きい。
 だが、クローザーに繋ぐセットアッパー、左の先発投手。14年シーズンの『ウイークポイント』を外国人選手で補うのは危険も伴う。外国人選手はどんなに調査を重ねても「ハズレ」がある…。昨季途中、不振の打線を救ったのは、西武渉外担当が緊急補強したエルネスト・メヒア内野手(29)だった。その“眼力”を信じたい。
 西武投手陣が対戦チームに全四球数は、12球団ワーストの515個。また、打線が選んだ年間四球数も、545個で12球団トップ。
 黄金時代、西武打線は一発の脅威を秘めたバッターもいたが、犠打や右方向への打撃を駆使し、「1点」を積み上げる攻撃を得意としていた。その時代を知るOBがコーチになっており、投球を見極め、相手投手のスタミナをジリジリと奪っていこうとする意識は、今の選手たちにも浸透している。投手陣にしても、「3ボール・カウント」になっても、際どいコースを狙ってくる。決して間違ってはいないが、14年シーズンは各打者の積極性を奪い、与四球で無駄に走者を置く結果となってしまった。

 エルネスト・メヒア、栗山巧(31)、浅村栄斗(24)、秋山翔吾(26)、中村剛也(31)が規定打席数に到達した。そのなかで、三振数が3ケタに到達しなかったのは、秋山だけ。といっても、98個を記録しているが…。「甘い投球」が来ても、ジックリ見極めようとの意識があるため、簡単に2ストライクまで追い込まれてしまうのだろう。もっとも、エルネスト・メヒアは初球から振り回していくタイプだが…。
 西武選手を指して、「野球をよく知っている」と評する声も多く聞かれる。外国人選手がまた加わることによって、投打ともに積極性が生まれれば、状況は一変するのではないだろうか。

【訂正】牧田和久選手の年齢に誤りがありました、訂正してお詫び致します。

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