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綾野剛やピース又吉も絶賛する映画「最後の命」の衝撃度とは?

 芥川賞作家として知られる中村文則の小説『最後の命』が、柳楽優弥主演、松本准平監督によって映画化された。中村文則作品を絶賛する俳優の綾野剛や、ピースの又吉直樹が直ちにコメントを発表するなど、劇場公開直後から様々な反響を呼んでいる。

 この作品、原作者自身が映像化は不可能と公言していただけに、ホームレス集団が知的障害者の女性を廃墟で襲うという衝撃的なシーンの描写について、マスコミ試写では賛否両論が入り乱れていた。

 そんな最中、本作がニューヨーク・チェルシー映画祭にて最優秀脚本賞を受賞。それと同時にグランプリノミネートを手中に収めるという快挙も達成。招待上映後、日本国内ではネタバレとされている、生と性が相反するショッキングな結末を巡って、現地入りした松本准平監督に対して、アートの聖地・チェルシーに集った世界各国の若者たちから、セックスワーカーに関する疑問から、ホモセクシャルへの興味に到るまで、ダイレクトで過激なQ&Aが飛び交ったという問題作なのだ。

 主演は映画『クローズEXPLODE』で強烈な存在感を放った強羅徹役や、ドラマ『アオイホノオ』の焔モユル役の怪演が記憶に新しい柳楽優弥。松本准平監督直筆による、「主人公の桂人役は、柳楽君以外に考えられません」との想いを綴った手紙を何度も読み返して出演を快諾。第57回カンヌ国際映画祭で、史上最年少の最優秀主演男優賞に輝いた映画『誰も知らない』の子役時代を彷彿とさせる、静寂の演技力が若い観客たちから深い記憶を呼び覚まし、ラストシーンでは微かな希望を導き出すことに成功している。

 そこで今回、20代の女性に劇場鑑賞後の取材を試みたところ、「本当に重い内容でした。深くゆさぶられ、ずっと心臓を掴まれて、ひどく圧迫されているような感覚でした」(24歳 派遣社員)という、こちらまで息苦しくなるような感想が伝わってきたり、別の女性は、「鑑賞後ずっと街を歩き続けて、気がついたら毎年恒例のイルミネーションが輝いていました。でも、キレイだなと思う反面、“なんて安っぽい光なんだろう”って感じてしまう自分がいました」(21歳 ミュージシャン)とつぶやきつつ、複雑な表情をのぞかせてくれた。結果的に、潤んだ瞳で感想を伝えてくれる女性客の多さに正直驚かされた。

 劇場公開に先立ち、ロフトプラスワンで開催された公開記念イベントでは、宮台真司、岩井志麻子の両氏が、松本監督と並んで鑑賞後のコメントを発表するというスタイルで進められた。

 社会学者の宮台氏からは、「一人がこちらの世界にいて、もう一人があちらの世界にいる。同じ経験をした同士で、どうしてこうも異なってしまうのか。それぞれの十字架を抱えながら、交換不可能な生を生きる人物たちの姿に大変共感した。叙情的なエンディングは希望に溢れている」との、深く鋭い作品考察が展開された。

 続いて、作家の岩井氏からも、「悪は、人が生まれる前から自然界にあったものではない。悪は、人の手で作られたものでもない。悪は、人が生まれたときから備わっているものだ。そして、悪に関わった罪人と犯人は違う。私達は犯人にはならずに済むかもしれないが、罪人であることからは逃れられない。この映画で私達は罪人として罰せられるのではなく、何かの許しをもらう」という、悪に対する漠然とした固定概念が打ち崩されるほどの持論が、熱く語られたのだった。

 その後、まさに本作のメインテーマとでも呼ぶべき、幼少期のトラウマ体験が続々と語り尽くされる想定外のトークライブとなり、松本監督の質問に回答する宮台氏からは、小学生時代に何度もの転校を経験し、その度に転校先の女子生徒たちの気遣いや機転に、どれほど助けられたかという心温まるエピソードが語られ、さらに体験談は学生時代にまで進み、サークル内で知り合った女性とのナィーブな交際の果てに、如何にして深いトラウマを抱え込んでしまったかという当時の心境が、包み隠さず吐露された。

 そして劇中の登場人物が、主人公に依存するデリヘル嬢や、精神を病んでしまった若い女性であることにちなんで、岩井氏の取材メモに基づいた風俗業関係者との様々なエピソードや、故郷の岡山県に今も伝わる様々なタブーを解説していた辺りから、徐々にトーク内容がヒートアップ、遂には自身の初体験を暴露するというサプライズまで飛び出してしまったのだ。

 『最後の命』には、それぞれの性的トラウマをさらけ出してしまうほどの特異性が含まれているために、客席との質疑応答も異様な熱気に包まれた。ホームレス役を熱演した増田俊樹と長野克弘がそうした質疑に対して、現場での過激な暴行シーンにまつわる撮影秘話を次々と明かしていった際には、イベント参加者の好奇心もピークに達していった。

 まるでパンドラの箱を開けてしまったかのような周辺状況に、松本監督の戸惑いは隠せない。秋が深まるにつれ、更なる話題を振りまくであろうこの問題作。悪はいったい、どこからくるのか?

■最後の命 公式サイト
http://saigonoinochi.com/

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