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現代版“大阪城冬の陣” 天守閣の近くを「商業施設にすな!」の怒号

 大阪城本丸広場が大きく変わる。10月19日に開業したのは、その名も『ミライザ大阪城』。スポーツ施設設置に3Dマッピング、モトクロス大会開催など、商業施設化が進む大阪城公園に、また一つ、新たな観光スポットが誕生したのだが、これに地元住民の間では賛否両論の声が巻き起こっている。

 天守閣のすぐ近くにロマネスク調の偉容を誇るこの建物は、もともと「旧陸軍第4師団司令部庁舎」だった。昭和天皇の即位を記念して1931年に建設され、戦前は師団の司令部、戦後はGHQの接収を経て、大阪府警本部、さらに大阪市立博物館として使用されていたが、2001年に大阪歴史博物館の開館に伴い閉館。長らく一般には公開されない状態が続いていた。
 「その後、運営管理が大阪市から電通などで構成される大阪城パークマネジメント共同事業体へと移り、それが今回の復活につながったのです。約18億円をかけて改修したという館内は各種飲食店が入り、かつての貴賓室はカフェ、師団長室は喫茶室に。内装を飾る大理石やステンドグラスは、当時に近いものに仕上げられています」(地元記者)

 大阪城天守閣、大阪城公園には、ここ数年、外国人を中心に観光客が増加し、昨年は天守閣で過去最高の255万人を記録。今年もその更新は確実と見られている。その期待に沿うべく『ミライザ大阪城』がオープンしたわけだが、一方でこんな話も聞こえているのだ。
 「公園部分であればともかく、師団司令部は空襲でも生き残った陸軍ゆかりの名建築物。しかも、天守閣のそばで全面商業施設という点も理解ができない。例えば、歴史博物館の分館として使うといったことは考えなかったのか」(近隣住民)
 「何も歴史的建造物をショッピングセンターのような形にすることはなかったのではないか。外国人観光客狙いといっても、いつ飽きられるか分からへんのに」(別の近隣住民)

 共通する意見は商業施設化への違和感だが、大阪城公園の維持管理にかかる莫大な費用が、大阪市の財政を圧迫していたのは事実。
 「公共施設の管理を民間に任せるのは全国的な傾向ですが、確かに長期的な全面委託はまれな例。この手法を取ったのは橋下徹前大阪市長なのですが、口さがない向きからは“市は地域住民のための大阪城を放棄した”との声も上がっているんです」(大阪市関係者)

 まさしく、現代版「大阪城冬の陣」だ。天守閣よ栄華の刻を何偲ぶ。

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