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高橋四丁目の居酒屋万歩計(2)「三兵酒場」(さんぺいさかば、立ち飲み)

 池袋駅西口から徒歩350歩

 今夜、池袋の立ち飲み屋、「三兵酒場」で活発に論議されているテーマは、清和源氏の正統性と新聞ジャーナリズム、分けても毎日新聞の今後の展望である。なんじゃこりゃ、まるで「居酒屋の加藤周一」(かもがわ出版)みたい。藪から棒ですが、加藤周一(思想家)をおすそ分け。
 「あることが起こって(あるいは同時でもいい)その次に何かが起こった。だから前に起こったことが後から起こったことの原因であるとは必ずしもいえない。そういうのを、ラテン語で“ポスト ホック エルゴ ホック”の誤りっていうんです。ポストは『後』、ホックは『あること』、エルゴは『故に』です。『あることの後で(だから)そのことの故に』というのはまちがいだという。これは大昔、中世っていうよりもギリシャ時代からいわれてきていることなのですが、私の秘訣の一つとして今晩公開しようと思ったことなんです。それだけで大抵のことはかたづいちゃう」(「居酒屋の加藤周一」より)

 誤用の例題として、紅茶キノコを飲んだから長生きした、安保条約があったから平和だった、が挙げられております。昨年に亡くなった愁い顔の騎士、時代と人間を考察しぬいた哲人が遺した「秘訣」ですので、みんなで利用しようではありませんか。
 中野の都こんぶをご記憶ですか。真っ赤な箱。大阪府堺市の中野物産の長寿命商品で、15ミリ×4ミリの小窓が目印。「都」の文字がさくらの花びらのなかにロゴマークとして鎮座している。三兵で100円。最も安いつまみが、わさび豆50円。僅差で10円高いのが、ぬれセン。もう10円高いのが塩豆。乾き物は駄菓子ケースに入れられ、多様な缶詰類は店主の背後にうず高く積まれている。永遠のベストセラー、中野の都こんぶはキオスクでも売ってはいるが、ここでこういうふうに焼酎のトマト割を啜(すす)りながら舐(な)めると、泣きたくなるほど旨(うま)い。しかしこんなに中高年が集って、だれも年金と医療の話をしないのは不思議だ。
 もっと不思議なのは、あらゆる話に相槌を打つ亭主の存在だ。もっともっと不思議なのは、ここが池袋だということだ。

予算800円
東京都豊島区西池袋1-31-5

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