「そもそも都市ガス小売り自由化とは、現在、家庭までにガスを届けているガス管を新規参入するガス会社が使用することができるようになることです。東京であれば、既存の東京ガスのガス管を使って新規参入ガス会社がガスを販売する仕組みです」(経済記者)
電力小売り自由化が開始された時点で、都市ガス小売り自由化は決定事項であった。東京ガスの広瀬道明社長は「電力会社など、当社より規模の大きい企業が都市ガス市場に参入してくるのは間違いない」と警戒感を強め、この1年間は積極的に電力の方の小売りシェアを拡大してきた。そしてこの4月から、いよいよ東京電力の巻き返しが始まることになる。
「東京電力の最初の動きとして、4月から家庭向けに参入するLPガス大手の日本ガスと提携します。既に日本ガスに都市ガスを卸しているのが東京電力であることから、両社との連携を高めることで、東京ガスに奪われたパイを巻き返していく意向です」(同)
都市ガス小売り自由化によって、多くの規制の壁に守られていたエネルギー市場が完全に開かれることにはなるが、本当に消費者が利便性を感じられるレベルにはまだ達していない。電力自由化に際しても、実際に電力提供先を切り替える一般消費者の伸びはそれほど見られなかった。その多くが「手続きが面倒」「餅は餅屋、わざわざ変えない」という声であった。
「その一方で、多くの企業が都市ガスの小売り自由化を待っていた節があります。すべてのエネルギー自由化がなされるこの4月から、さまざまな企業間の連携、それに伴う多くのパッケージサービスが消費者に提案されるでしょう」(同)
電力20兆円、都市ガス5兆円ともいわれる巨大市場の行方やいかに。