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再検証 センバツ出場校決定前に囁かれる「阪神のドラフトは間違っていなかった」の声

 1月27日にセンバツ出場校が発表される。注目は高校通算78本塁打をすでに放っている清宮幸太郎(新3年)だ。早実高は昨秋、都大会優勝、神宮大会準優勝をおさめており、「怪物スラッガー」の聖地・甲子園帰還は確実で、12球団は複数制でのスカウト・チェックを行うことを決めている。

 「出場が確実視されている履正社の安田(尚憲)と比較しながら調査する球団も少なくないはず」(在京球団職員)

 在阪球団スカウトによれば、今秋のドラフト会議は「高校生野手」と「社会人投手」がキーポイントになるという。現時点で12球団の指名リストには100人前後の候補者が記載されているが、「上位指名の評価に値する大学生投手は少ない」とのこと。したがって、高校生中心の指名になる球団も多くなりそうで、各スカウトは超高校級と評される清宮、安田たちがどう成長したかをセンバツで確認するつもりでいるようだ。

 「清宮がプロ志望届を出すとすれば、1位指名入札が集中するのは必至。安田は三塁手だから、この時点で清宮以上に注目している球団もないわけではない」(前出・同)

 外野手なら、横浜高校の増田珠がいる。有望な高校生野手の当たり年でもあるようだが、どの球団スカウトもふた言目に口にするのは、「即戦力投手も欲しい」だ。社会人投手の見極めも、『清宮チェック』同様、スカウトたちの重要な任務となる。こうしたドラフト事情を受けて、阪神の新人自主トレで他球団から“羨望の眼差し”を向けられている投手がいた。ドラフト8位指名、藤谷洸介投手(20=パナソニック)だ。

 この右腕は17年ドラフトの上位指名候補と位置づけられていた。どの球団もそうだが、スカウト部門には「次年度」「次々年度」の指名候補リストがある。100人強の有望アマチュア選手名が記載されており、新たに名前を書き加えるときもあるが、ほとんどは調査を続けながら削ぎ落としていくのだという。藤谷は周防大島高(山口県)時代も「離島のダルビッシュ」と称された好投手だった。しかし、三年生夏、県大会初戦中に右肘を疲労骨折してしまった。社会人1年目の14年はほとんどをリハビリにあてており、15年も目立った成績はおさめていない。3年目の昨季に再注目されたが、スカウトの立場からすれば、「1年で結論を出すのは怖い。もう1年見てから」ということになる。そのなかで阪神だけが“先行投資”の指名に踏み切ったのだ。

 もっとも、1位で即戦力投手ではなく、大山悠輔内野手を指名し、思うような投手補強ができなかったから先行投資せざるを得なかったとも言えなくもない。しかし、昨秋ドラフト会議の2日後の全日本選手権で藤谷は強豪・JFE西日本を完封してみせた。新人自主トレでも、首脳陣は「スカウトの報告以上」の手応えを感じているという。

 昨秋のドラフトで、阪神はスポーツメディアから酷評されていた。「大山は2位以下でも指名できた、即戦力投手を1位で」というのがその根拠だが、金本知憲監督は大山にこだわった。そのため、17年ドラフト会議が「高校生野手と社会人投手中心になる」流れを踏まえ、先行投資の投手指名に切り換えたのだ。

 藤谷の契約金は300万円、年俸は700万円。大山は契約金1億円+出来高5000万円、年俸は1500万円。2位の小野泰己(22=富士大/投手)は契約金7000万円で、年俸は1200万円。藤谷が活躍すれば、阪神は“お買い得”ということにもなる。蛇足だが、パナソニックの監督は元阪神選手の梶原康司氏だ。虎のスカウト陣が藤谷に関する詳細な情報を得ていたとすれば、昨秋のドラフト戦略に対する低評価は改めなければならない。(契約金、年俸は推定/一部敬称略)

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