「星野リゾートは昨年7月、東京・大手町に天然温泉付きの超高級旅館『星のや東京』をオープン。4月には北海道・旭川市で『旭川グランドホテル』の運営を開始しました。これまで高級リゾート路線を突き進んでいましたが、都市型ホテル事業への参入が国内外で注目されています。大阪は訪日外国人観光客数が拡大しており、そこに着目したのでしょう」(経済エコノミスト)
しかし、一部の業界関係者からは「なぜ治安のそれほどよくないと言われる大阪の新今宮に開業するのか」と驚きの声が上がる。同地区周辺は大阪の中心地である一方で、住所不定の日雇い労働者が多く集まる「あいりん地区」と呼ばれる一角。1泊1000円〜3000円の簡易宿泊所が軒を連ねる。日本三大ドヤ街の一つと位置付けられ、路上に横たわる浮浪者の姿も珍しい光景ではない。周辺には遊郭・飛田新地もあり、大阪の夜の街としてのイメージも強い。
「あいりん地区は、戦後より日雇い労働や安宿のイメージが色濃く残っています。しかし、労働者の高齢化や外国人バックパッカーの流入で観光エリアに変化している。同じく東京のドヤ街で知られる山谷地区も、今や外国人観光客であふれています。都心部にありながら宿泊費が安い簡易宿泊所は、外国人観光客のシェアが高まっているのです」(同)
星野リゾート代表の星野佳路氏は、大阪ならではの“ディープな空間や体験”を売りに、と意欲を見せるが、銀行関係者からの「下町情緒とエロスが混沌とする地で星野リゾートがうまくいくとは思えない」という厳しい見方も…。どうやら壮大な“実験”となりそうだ。