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信長を考える(1) 『江〜姫たちの戦国〜』

 NHK大河ドラマ『江(ごう)〜姫たちの戦国〜』が放映されている。織田信長の妹・市の三女「江」の一代記。市は浅井長政に嫁いだが、長政は、信長との同盟よりも、朝倉との同盟を選んだ。「江」は、信長旗下の豊臣秀吉軍に包囲された城内で生まれ、のちに徳川2代将軍秀忠の正室になる。

 大河ドラマ『江』は、大人の出演者がティーンエイジャーという設定で出演していたり、言葉使いが現代的であったり、史実ではありえないストーリーが構築されているといわれるが、第10回までの放映で印象に残ったのは、ドラマの中では帰らぬ人となった信長と市。

 大河ドラマ『江』では、信長は、天空のかなたにある理想「天下布武」を見つめていた。その実現のために行動する孤高の人として描かれた。周りの人間たちは、「天下布武」を理解することはできないが、信長が何か特別なものを見ていることは感じている。市は、母親の責任を果たすためいったんは死を思いとどまった。しかし、2度目は、自ら死を選んだ。

 大河ドラマでは、「江」は意志を持って行動するヒロインとして描かれている。馬を乗り回すおてんば娘のころは、幸せそうだった。しかし、もちろん、女性でも「騎兵にも大学教授にもなれる」といわれた時代ではない。大河ドラマの「江」は、乗馬はできても、部将にも、文官にもなれないだろう。しかし、「江」は、信長から「前に進め」と声を掛けられた。市からは信長の理想「天下布武」を託された。

 信長は、西の浅井、東の徳川と同盟を結んだ。浅井は朝倉と組んで反旗を翻し、徳川は武田と組むという選択肢もあったろうが信長との同盟を守った。信長は従者の明智に討たれる。同じく従者のうち、柴田は滅び、豊臣が台頭する。それが、「男たちの戦国」。

 「江」は、織田家の娘だ。市は死に際し、娘たちに、浅井の誇りと織田の誇りだけを託し、柴田は割り切って捨てている。それが「セレブ」というものなのかどうかはわからないが、「織田家の娘の戦国」であることはまちがいない。

 信長と市がドラマから消えて、ほんとうの「姫たちの戦国」が始まる。

 意志を持って行動する「江」が、意志の通りには生きられない「姫たちの戦国」をどう生きるのか。その中で、何を探し、何を求めるのか。そして、「江」が生きる「姫たちの戦国」とはなんなのか、目が離せない。(竹内みちまろ)

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