「勝久氏が長男の勝之氏を社長に立て、勝久氏の出身地でもあり、大塚家具発祥の地、埼玉県春日部市の広大な西武百貨店跡地に今夏、一般向け大店舗を展開するという。目と鼻の先には大塚家具春日部ショールームがある。地元でも話題の的になってます」(地元記者)
勝久氏が会長の新会社は『匠大塚』。4月22日には業界向けに総合プロデュース提供のデザインオフィスを日本橋にオープンさせた。
経営コンサルタントはこう言う。
「父娘の対立のポイントは、大塚家具の売り上げが下落していた中、勝久氏があくまで高級志向にこだわった点にある。対して、久美子氏は、ニトリやIKEAを意識した大衆路線に切り替えるべきと激突し、分裂となった。今回の勝久・勝之親子の第1号店の春日部店は、あくまで原点回帰。従来の中高級志向、会員制にこだわっての店舗展開だと言います」
匠大塚の店舗展開で、もうひとつの話題が資金と社員。資金は勝久氏が大塚家具の株式売却で得た20億円と、社債償還裁判で久美子氏側に勝訴して得た15億円で、合わせて35億円がベース。
「その資金で世界中から高級家具を買い集め中というが、同じ轍を踏むのでは、と不安視する向きもある。一方の社員は、約60人のほぼすべてが大塚家具の元社員。勝久氏はさらに、ベテラン社員中心に続々引き抜き中と言います」(同)
そのため業界内では、「自爆覚悟の娘潰しか」との声も聞こえてくるのだ。
「確かに都心から40分離れた人口20万人ほどの春日部市に、駅を挟んで売り場面積約3万平方メートルの匠大塚、方や1万平方メートルのIDC大塚家具。どう考えても過剰で、共倒れも考えられる」(家具販売会社関係者)
迎え撃つ大塚家具は昨年“騒動お詫びセールス”と久美子社長キャラで黒字転換したが、今年は対前年比10%以上のマイナスで陰りが見える。そこに創業者の殴り込みだ。
「かぐや姫」の運命やいかに。