この条例案は昨秋、大阪維新の会が市議会に提案したもので、ミナミをはじめ、市内各地で問題化している強引な客引きを根絶するのが狙い。当時、橋下市長(当時)は「検討を進めたい」と語るに止めていたが、1月25日に出席した「ミナミ活性化協議会代表者会議」で「6月制定、10月施行という日程でやりたい」と発言。違反者には、過料5万円以下の行政罰を科すことを言及したのである。
この橋下発言に、地元では賛否両論の意見が噴出している。ミナミなどの繁華街のイベントを請け負うプロデューサーが言う。
「今までが手ぬるすぎた。地元商店会は、毎日がガールズバーや飲食店の悪質な客引きと大喧嘩です。なにせ、アイツらの中には半グレみたいな連中がからんでるのもおるから手に負えん。市長には1日も早くきつい条例を作ってもらいたい」
道頓堀は来年の「開削400年」に向け、地域を挙げて「健全で魅力あるまちづくり」に取り組んでいる。それだけに環境浄化への思いは切実だが、これに対し摘発対象になりそうな客引き側は、意外なほど冷めた目を向けているのである。
ガールズバーのキャッチ嬢が言う。
「罰金取られることになるんは知ってるよ。そやけど、今回も口だけやないかと評判で、結局は客を呼ぶためにはあの手この手をせなならんから、それほど状況が変わるとは思えへんわ」
この発言に代表されるように、地元では「施行日程と罰金はお題目」と見る向きも多いのだが、これには理由が存在するのだ。
議会関係者がこう話す。
「罰金発言は、市長選を見据えた橋下氏のパフォーマンスであることがミエミエ。そうまでしなければならない求心力のなさに、市民らも呆れ始めているのです」
これを見る限りは、橋下氏の求心力は風前の灯。再選されても、大阪都構想が進むとは思えないのだが。