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トラは株主対策よりも「緒方監督を見倣え」の声

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緒方孝市

今オフの国内FA市場の目玉とも言える埼玉西武・浅村栄斗内野手(27)と、広島東洋・丸佳浩外野手(29)に対し、金本阪神が調査を開始――。そんな一報が駆けめぐっている。
「この一報が紙面に出たのは、6月12日。12日というのがアヤシイですね。翌13日は、阪急阪神ホールディングスの株主総会が開かれました。この株主総会でタイガースの不甲斐なさに憤りを伝える株主も出ていますし、4番を予定して獲得したロサリオは二軍、連日、金本(知憲=50)監督のチームを嘆く発言が伝えられていました。タイガースは『チーム強化のため、常に動いています』という、メッセージだったのでは?」(球界関係者)
 そう考えてみれば、不振のロサリオに代わる新外国人選手として、カブス3Aのエフレン・ナバーロ外野手(32)との契約合意が「目前に迫った」とするニュースも同10日に伝えられている。やっぱり、株主対策か…。まだ6月だというのに、オフの補強に関する報道が駆けめぐったことに対し、プロ野球解説者がこう指摘していた。

「セ・リーグは広島が独走態勢に入りつつあり、2位以下のチームがダンゴ状態です。広島も本調子ではありませんが、他球団の調子が悪すぎる。広島のチーム編成の勝利ということでしょう」
 その広島も16年の優勝以前は、長く低迷していた。25年ぶりの優勝だった。
 広島出身のプロ野球解説者がこんな話をしてくれた。
「カープが長く低迷した原因はFA制度です。広島のチーム強化は選手を育てることをメインに置いていました。しかし、一人前に育つと、FA権を行使して他球団に出て行ってしまう。これではチームは強くなりません。広島の編成、スカウトはドラフト指名した選手がFA権を取得する前に、これまで5年掛かって一軍戦力になる育成を短縮すること、権利を取得してもチームに残留してもらえるような組織作りに変えたんです」
 今季の丸は序盤戦に右太股を故障し、交流戦前に復帰してきた。調味深いのは、その丸の「故障前」と「離脱直後」のチーム事情だ。

〇離脱前25試合 4・92点
〇離脱後8試合 3・75点

 これは広島打線の「1試合平均」での得点。丸がいるかいないかで、得点能力は“1点以上”も違っていたわけだ。
 こうしたデータを見ると、「丸が復帰する」の一報が届けられるだけでチームが活気づく。

 また、緒方孝市監督(49)にとっても、丸は思い入れの強い選手でもあるようだ。二軍時代から目を掛けていたという。
「一軍監督に昇格した15年から、丸に対しては厳しくあたっていました。二軍時代も丸にだけは厳しかった」(関係者)
 丸に“感じるもの”があったのだろう。ドラフト1位ではない叩き上げ、生え抜きの主軸バッター、そういえば、丸のFAに関しては巨人も関心を抱いているとの一報もあった。緒方監督と丸は“酷似する点”も多い。
「昨年オフの契約更新で、丸は大幅昇給を勝ち取りましたものの、あまり嬉しそうではありませんでした。丸は年俸の上がり幅とは別に『タイトル料』を希望し、球団はそれには応じられないの一点張りだったと聞いています」(前出・同)
 タイトル料を出すかどうかが、丸の他球団流出のカギになるかもしれない。

 しかし、広島には苦労して一軍定着を勝ち取った選手も多い。また、FA制度が導入された当時のように特定の人気球団にドラフト候補が集中するというご時世ではなくなった。
「メジャー志望のある選手は別ですが、近年では一緒に苦労した指揮官、コーチがいるから国内FA権は行使しないとする傾向も見られます」(前出・プロ野球解説者)
 金本監督も“タテジマ愛”の強い選手を育てるチャンスでもあるのだが…。新外国人、FA補強のタイガース情報は、株主の感情を逆撫でしてしまったのではないだろうか。「緒方監督を見倣え」の声も聞こえてきそうだ。
 今の強い広島は、緒方監督が二軍指揮官時代に苦労した証とも言えそうだ。(スポーツライター・飯山満)

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