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1億総下流社会突入! 悲惨な業界「人間模様」 〜年収300万円は夢のまた夢〜(2)

〈タクシー運転手〉国立大卒のエリート商社マンが今は年収210万円の極貧生活

 2002年の規制緩和により業者の新規参入が相次いだタクシー業界も“悲惨な業界”の代表格だ。全国の主要都市で飽和状態に陥り、昨年10月には青森のタクシー運転手のグループが「低収入になったのは規制緩和が原因」と国を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしている。
 「私も原告団に参加したい気持ちです。確か、青森のタクシー運転手の平均年収は全国最低水準の177万円。これだけでは家族を養うことはできませんよ」

 そう憤るのは北海道のタシー運転手、有村和也さん(仮名・40歳)。青森ほどではないが、去年の年収はたったの210万円だった。
 「北海道でも札幌のような観光地ではないため、お客さんは最寄り駅や病院の行き来に利用する程度。にもかかわらず、こんな田舎ですら運転手が増えている。ある古株の運転手は『規制緩和の前は今より70〜80万円年収が多かった』ってボヤいていたほどです」

 つまり、少ない客を大勢で奪い合っている状態のわけだが、困ったことにタクシー運転手の大半は望んで就いた職業ではない。他に仕事がないなどやむを得ない理由で就いたケースが圧倒的多数を占めるという。
 「私もそうです。新卒で入った商社を病気で辞めざるを得なくなり、完治後にいざ再就職しようとも約1年のブランクがネックとなり、正社員として雇ってくれるのはタクシー会社以外になかった。実際、ウチの会社なんて今ですら人手は余っているのに、まだ募集をしているくらいですから」

 グチをこぼしたくなるのは、有村さんが道内の名門、北海道大学の出身だからでもある。いくらなんでも旧帝大卒のエリートなら、もう少しいい条件の職場に入れたような気もするが…。
 「けど、北海道はずっと景気が悪いままで、いくら北大卒でもまともな職歴のない自分が通用するほど甘い状況ではありませんでした。それに出身大学のことは今の仕事にとっては逆にマイナス。以前、勤めていた会社では上司が大学のことをバラして、『なんで北大行ってた奴が』と言われ、肩身の狭い思いをしました。だから今の会社では上司に口止めしてもらい、一切話していません。もちろん、昔の自分からは想像しなかった職に就いているわけですから『なんで俺が…』と思うこともありますけどね」

 難関国立大を卒業したからといって、必ずしも将来が安泰とは限らないのだ。

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