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AKB48メンバー 卒業後の進路は十人十色

 初代総監督にして不動のリーダー、AKB48・高橋みなみの卒業がいよいよ間近に迫ってきた。2005年10月30日、24名のオーディション合格者を発表して以来、アイドル史上に例のないほどの人数が所属し、数えきれないほどのメンバーが卒業していったAKB48。グループ卒業後も続く、一人ひとりの人生。その道程も、一人ひとりさまざまだ。「元AKB」は今、どのような道を歩んでいるのか。主要メンバーの「その後」を振り返ってみよう。

 AKB48初の卒業者は、創設メンバーのひとりでもある宇佐美友紀。秋葉原AKB劇場で初公演を行った2005年12月8日から翌年の3月31日まで、活動期間は4か月弱と短いものだった。アナウンサー専門学校在学中にアナウンサーやキャスター、リポーターなどを経験し、AKBのオーディションも「MC志望」で応募した宇佐美。グループでは最年長で、メンバーから頼られる存在だったが、「やっぱり、喋る仕事がしたい」と卒業を決意。アイドルとしては早過ぎる卒業だったかもしれないが、現在、イベントMCやTVリポーター、ラジオパーソナリティーなどで活躍する彼女を見る限り、早めに方向転換できたことは正解だったように思える。

 ただ、すべての元AKBが、宇佐美のように目指していた道で活動していけるわけではない。アイドルが卒業後に、もしくは脱アイドル後に進む進路としては、やはり「女優」が最も一般的だろうか。AKBでも女優に転身する者は多い。しかし、華々しい活躍をしている者は決して多くはない。

 AKBに限らず、アイドルが女優に転身する際の障壁となるのが、2つの“目”だ。固定観念と言い換えてもいい。ひとつは、業界や世間の目。アイドルとして名声を得た者ほど、卒業後、常に「元アイドル」という肩書きがついてまわる。その先入観が邪魔をして、演技に対する正当な評価が得られないことは多々ある。

 もうひとつの障壁となる“目”は、意外かもしれないが、ファンの目だ。本来、卒業後のアイドルを支えていくべき存在なのだが、新たな道が必ずしもファンのニーズと一致するわけではない。新しい活動スタイルを受け入れられずに興味を失ってしまう者や、なかには、逆に“アンチ”へと回ってしまう者も。そんななかでは、前田敦子や大島優子など、かつてのトップメンバーはドラマに映画にと相応の結果を出している。特に大島は、卒業の年に出演した映画『紙の月』で、第38回日本アカデミー賞優秀助演女優など各賞を受賞。翌年には、『銭の戦争』(フジテレビ系)で連ドラ初ヒロイン、『ヤメゴク 〜ヤクザやめて頂きます〜』(TBS系)で連ドラ初主演。同年の秋には、稲垣吾郎主演『No.9 -不滅の旋律-』で本格的な舞台への初出演。また、現在放送中のNHK連続テレビ小説『あさが来た』にも、のちの「平塚らいてう」役で出演することが発表されたばかりだ。

 もともと、演技だけでなくバラエティー的センスにも長けている大島は、番宣などでテレビ出演した際の立ち回りが上手く、一般層の好感度も着実に上げている。その証拠に、卒業後のCM出演数は元AKBでは群を抜いており、マイナビニュースが行った「AKB48卒業メンバーで最も活躍しているのは?」というアンケートでも断トツの1位だ。

 大島優子や前田敦子の活躍には、AKB時代に手にした知名度が大きなプラスとなっているのは言うまでもない。在籍時、大島・前田ほどの人気や知名度はなかったものの、卒業後はドラマ、映画、舞台にコンスタントに出演し、「勉強熱心で存在感がある」と業界内での評価を上げているのが秋元才加だ。

 最近では、15年8月に卒業した川栄李奈の活躍ぶりが著しい。特に、主演を務めた舞台『AZUMI 幕末編』では、激しいアクションも堂々とこなし、周囲の予想を大きく上回る好評を得ている。4月からスタートするNHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』や秋公開の映画『デスノート2016』など、話題作への出演も次々に決まり、卒業によってステップアップを果たしたメンバーと言えそうだ。

 アイドルにとって、最も経験値が高いはずの「歌手」の道は、女優以上に険しいのが実情だ。AKBでは、板野友美が在籍中から引き続きソロ歌手として活動しているが、卒業後にリリースしたシングル3枚ではオリコン3位、6位、6位と芳しい成績は残せていない。この結果も女優と同じように、AKB時代のファンが求める「板野友美」とのズレが要因のひとつと言えるだろう。

 そういった意味では、今年1月の卒業発表時に「演歌一本でやっていく」と宣言した岩佐美咲のように、あえてアイドル色を払拭するのも長く生き残っていくためには、ひとつの手かもしれない。11年、演歌に強い老舗芸能事務所に移籍したことも、卒業後の進路に大きな影響を与えているだろう。演歌歌手へと転身し成功した元アイドルには、長山洋子、城之内早苗などがいる。

 バラエティータレントという方向性も“ありがち”ではあるが、単なるお飾りではなく、大島麻衣のように数本のレギュラーを持つ売れっ子となるのは容易ではない。SDNではキャプテンを務めていた野呂佳代が、今、バラエティーで再ブレイクを果たしているのも、ダチョウ倶楽部・上島竜兵とのキスネタをこなすなど、アイドルとしての過去を捨てるぐらいの気概があればこそだ。

 なにも芸能界に縛られる必要はない。「元AKB」というブランドを巧みに活用し、「実業家」として成功している例もある。卒業後、アパレル会社やネイル・エステサロンの経営で大成功。そのプロフィールのおかげで、在籍時よりもタレントとしての活躍が増えている川崎希。第1回じゃんけん大会でセンターポジションを勝ち獲った内田眞由美は、在籍時にオープンさせた焼肉店のオーナー業に力を入れている。

 趣味や特技を生かし、転身を成功させたメンバーも。AKBのオープニングメンバーであり、SDNにも所属した戸島花は、人気マンガ『ヒカルの碁』の影響ではじめた趣味の囲碁を生かし、囲碁番組の司会、日本棋院の囲碁大使、囲碁雑誌での連載など、「囲碁タレント」として活躍中。日本国憲法の暗唱を特技とし、憲法の入門書を共著で出版した「憲法アイドル」の内山奈月も、アイドル以外の道を選んだようだ。

 12年、インドネシアのジャカルタを拠点とする姉妹グループJKT48に移籍し、今年2月27日に年内卒業を発表した仲川遥香。彼女が選んだ「その後」も異色だ。普通ならば、JKT卒業後はファンの待つ日本へ飛んで帰り、再びAKBとして活動したいと思いそうなものだ。しかし、あえて日本には戻らず、幅広く海外で活動していくという。現地では、出演CM約30本、テレビのレギュラー番組も持つほどの売れっ子だったようだが、それでも日本に戻らないという選択は勇気のいる決断だったろう。

 姉妹グループも含めれば、今後卒業を予定しているメンバーは、すでに発表されているだけでも14名。卒業ラッシュはまだまだ続きそうな気配だ。高橋みなみをはじめ、それぞれがどのような道へと進んでいくのか。もちろん、芸能や実業での成功を目指すだけでなく、学業に専念し、社会常識を身につけ、ごく普通の女性として幸せをつかむという道も、おおいに有りだ。

【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第18回】

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