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キャンプ・オープン戦中間報告(6)「広島」 頼みは外国人選手? 大竹に復活の兆し

 マエケン(前田健太=22)に次ぐ先発投手が出現すれば、Aクラス入りは決して難しいノルマではない。昨秋ドラフト指名した新人投手たちは即戦力の期待も大きかったが、戦力として確実に計算しても大丈夫そうなのは、2年目の今村猛(19)だけかもしれない。

 首脳陣がもっとも期待していたのは、1位の福井優也(23=早大)だったはず。ストレートの最速152キロ、バッターの手元で微妙に揺れるムービングボール。コントロールも良く、スライダーなど変化球の精度も高い好投手だが、キャンプでは「大丈夫かよ!?」と聞きたくなるくらい、スロー調整だった。
 一次キャンプ終了時、一、二軍の選手の入れ替えが行われるが、福井に関しては“温情”で一軍に残留できたようなものだった。
 そもそも、この出遅れは、ドラフト後の11、12、1月に練習らしい練習ができなかったからだと聞いている。通常、新人選手は飛ばしすぎて、監督、コーチがブレーキを掛けるものである。なのに、福井は違う。すでに「自分」を持っているとも言えるが、別メニューの軽い練習しかできない日もあった。お目付役の大野豊・投手チーフコーチ(55)がスロー調整を許したのも、「今、無理をさせたら故障してしまう」と判断したからだそうだ。本領を発揮するのは、早くてもオールスター戦明けではないだろう。

 プラス材料だが、故障で昨季を棒に振った大竹寛(27)の完全復活は時間の問題だ。一般論として、故障明けの投手は必要以上に慎重になりがちだ。また、本人が大丈夫と思って投げ込みをした翌日以降、痛みを再発するケースが多々あった。大竹は2日連続でブルペンに入り、かなり力のあるストレートを投げ込んでいた。ここまで、違和感、痛みなどの報告は一切ないという。期待できそうな外国人投手が2人いた。1人は新加入のバリントン(30)。05年の右肩手術以降、伸び悩んでいたらしいが、193センチの長身から投げ下ろすストレートは角度があり、手元でもう1回加速するような軌道だった。また、3年目のソリアーノ(28)も良い。もともと、荒れ球が特徴だったが、そのブレが「ストライクゾーン」におさまるようになった。養成機関『カープアカデミー』の出身だ。ソリアーノが1年間、ローテーションを守れるとまでは言わないが、「谷間」を埋めるだけの力は十分に培われたようである。

 サファテ(29)を推すプロ野球解説者もいた。「150キロ以上出る」とは聞いていていたが、そこまで速くないと思う。マエケン、豊田、今村の方が速い。但し、「落ちるボール」は凄い。鋭角に落ちる『縦のスライダー』は武器になる。
 昨季はクローザー・永川の離脱がそのままチームの低迷に直結したが、7年ぶりに古巣復帰した菊地原毅(36)、前巨人・豊田清(40)も加わり、救援陣の層は厚みを増したように見えた。新人投手のなかで、一軍登板がもっとも早そうなのが、ドラフト2位の左腕・中村恭平(21)。先発枠を争うという。「ストレートが速い」とは聞いていたが、糸を引くような綺麗な軌道のボールを投げていた。球質も重そうである。しかし、先発ローテーションを守り抜くには「チェンジアップ系の抜くボール」が不可欠であり、変化球の持ち球が多くないと長いイニングは投げられない。そういう器用さはまだ感じられなかった。短いイニングなら、真っ直ぐだけで勝負できそうである。リリーフなら、相当な戦力になりそうだが…。

 4番を任されてきた栗原健太(29)が3番にまわるらしい。フリー打撃を見る限りでは、新加入のトレーシー(30)の打球はケタ違いのスピードだったが、3年目の岩本貴裕(24)もレベルアップしている。昨年から取り組んでいたノーステップでの打撃フォームを完全に自分のモノにしており、「3番・栗原、4番・トレーシー、5番・岩本」という打順が予想される。プロ10年目の昨季、初の規定打席到達、3割をマークした広瀬純(31)も順調そうである。

 外国人選手が日本で活躍するかどうか、その見極めは難しい。渉外担当者はかなり細かく調査している。それでも、「失敗」の可能性を低くすることはあっても、渉外担当者のレポート通りにはならないのが現状だ。広島は投打ともに外国人選手がポイントになる。その意味では、今季はチームそのものが「やってみなければ分からない」の要素を多分に秘めているというわけだ。(スポーツライター・飯山満)

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