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ダルに野村監督の猛毒

 日本ハムのエース、というよりも日本球界のエース・ダルビッシュ有が、7月にも“変化球の投げ方”という技術書を出す動きが表面化、思わぬ波紋を呼んでいる。日本ハムは2年ぶりのリーグ優勝を目指している時期だけに、問題視されているのだ。シーズン中の出版物といえば、楽天・野村克也監督が有名で、その悪影響ともいえる。正反対に「ユニホームを脱ぐまで本は出さない」という哲学を貫いた永遠のスーパースターONの存在もあり、ダルビッシュ本は球界全体に大きな問題を投げかけている。

 ダルビッシュと言えば、過去にヌード騒動を起こしている。シーズン中、女性誌にダルビッシュの裸の写真が掲載され、事前に知らされていなかった球団側が激怒。所属する事務所と本人に厳しく注意する事件があった。「芸能プロに所属するタレント選手の新庄の悪影響だ。ダルビッシュも芸能プロと契約しているから、こういう問題が起きる。このままでは第二の新庄になってしまう恐れがある」と球界OB、関係者は危ぐした。幸い、この騒動が薬になり、新庄化現象は食い止められている。
 今回はヌード騒動と違って、技術書の予定だから、一見すると問題はないように思えるだろう。だが、日々グラウンドで死力を尽くしている野球選手がシーズン中に本を出すこと自体、球界の常識に反しているのだ。やるのならば、シーズンオフにすればいい。そのためのポストシーズンなのだから。

 「まだ正式決定ではありません」というが、出版社側の狙いは見え見えだ。日本代表が連覇したWBC効果が完全消滅しないうちにという思惑だろう。WBCでダルビッシュが変化球の投げ方を伝授した楽天・田中将大が、岩隈久志とエース争いをするほど急成長している。「WBCでダルビッシュさんに変化球の握り方などを教えてもらったのが大きかった」と、田中自身が認める「マー君を変えたダルビッシュ投法」というタイトルで出す技術書ならば、インパクトは大きい。しかし、球界側からしたら、「いくら野球の本でもシーズンオフに出すべきだろう」というのが正論だ。
 この伝統ある正しい考え方をもっとシビアに実践したのが、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督であり、ソフトバンク・王貞治球団会長だ。「本を書くことに興味はあるよ。でも、ユニホームを着ている時は野球に全力を傾けるから、そんな余裕もないし、ユニホームを脱いでからでいい。それからジックリと自分の野球人生を振り返り、書き残したいよね」。永遠のスーパースターONは、異口同音に語り、有言実行している。現役引退の際に貴重な自著があるのみ。監督生活集大成の本は、ON共に病に倒れるアクシデントもあり、残念ながらまだ出版されていない。
 このONを天敵視する楽天・野村監督が球界の常識を破壊した。シーズン中にも平気で本を出し、自己PRしている。オフになってからならば、いくらでもやればいい。だが、勝てば自分の手柄で、負ければ選手の責任でボヤキまくっているのだから、本を書くヒマがあれば、チーム強化に頭と時間を使うべきだろう。もしダルビッシュ本が出版され、球界OB、関係者が批判したら「野村監督もやっているじゃないですか。何が悪いんですか」と反論されてしまう。そうなれば、二の句も告げなくなる。
 「売れる野村本」などとおだてるマスコミも悪いが、公私混同、「自分に甘く、他人に厳しい」野村流が、日本のエース・ダルビッシュまで毒することになったら、球界全体の一大事になる。「ユニホームを着ている間だから本が売れる。今季限りで勇退の既定路線を敷かれているので、今のうちに稼ぎたい」。そんな本音が見え隠れする野村監督だが、本当に面白い本ならば、引退後でも売れるはず。立つ鳥、後を濁さないように。

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