「紅葉は秋になり気温が下がり始めると葉の葉緑素が壊れて、それまで見えなかったカロチノイドという黄色い色素が浮き出てきます。これが『黄葉』で、さらに気温が下がると葉に残った糖分からアントシアンという赤い色素が作られ『紅葉』になります」(樹木医)
ナラ枯れになると、秋でもないのに葉が紅色になってしまうという。さらに進むと枝が折れ、いきなり落ちてくることもあるので危険なのだ。
「ナラ枯れというのは、体長5ミリほどのカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌が、クスやクヌギなどのドングリをつける木の中に入って増え、木が根から水分を全体に行き渡らせることができなくなり枯れてしまう病気です。日本では、樹木を伐採して薪や炭を生産することがなくなったことで“放置木”が大きくなり過ぎて、ナラ菌を媒介する虫の餌や住まいが増えてしまったために発症するといわれています」(同)
大阪では、被害が確認された'09年度から比べると被害区域は120倍にも広がった。放置木の問題は全国的な傾向であるため、被害は九州北部と北海道以外1都2府30県に広がっている。
そんな中、首都東京は特に危ない。なぜか。
「被害が出たときには早期発見し、すぐに虫の駆除と木の伐採を行うのが最善策です。ところが、東京の公園は伐採するための重機が入りにくい。自然林である明治神宮などはなおさらです。木の伐採がしづらい場所でナラ枯れが発生してしまうと、病木を放置することになり、被害が拡大する可能性が高くなるのです」(日本緑化センター)
森林も人間と同じ。手入れしないと病気になるのだ。