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スタジアムの夜、祭の前と後

 14人のヴォーカル&ダンスユニットEXILEによる初のスタジアムツアー『FANTASY』の最終公演が9月26日に豊田スタジアム(愛知県豊田市千石町)で行われた。当日、スタジアムのピッチに作られた400mもの花道にメンバーが縦横無尽に踊り回り、花火や放水などの演出を見せ、激しい雨の降る悪天候の中、約37000人を魅了した。このスタジアムツアー(10都市22公演)は、一度のツアーで110万人を導入する記録を出した。

 会場となった豊田スタジアムは、豊田市が市制50周年記念事業として、総工費308億700万円を投じ、2001年7月21日に開場された。02年のFIFAワールドカップの開催候補地になったが、落選した。集客人数は49000人を誇り、コンサート会場としても使用される。しかし、豊田スタジアムは交通の便が悪く、公共交通機関を利用すると、名鉄三河泉豊田市駅か、愛知環状鉄道新豊田駅から徒歩15〜20分なので歩くか、駅からのシャトルバスを使うしかない。車の場合は、600台分の駐車場はあるものの、大きなイベントのある場合は関係者専用となり閉鎖されてしまう。

 EXILEのスタジアムツアーが豊田スタジアムで開催されたのは8月21・22日と9月25〜27日の5日間あった。市内のホテルでは料金設定が割高であっても満室になり、駅中心地にある駐車場も満車、通常の休日に比べ5倍の売り上げがあり、ホテル・駐車場は思わぬ恩恵を受けた。
 しかし、全国から押し寄せたファンや全開催会場(7か所)を回ったファンの豊田市の印象は悪く、「市街地から少し離れると何も無い」、「コンサートが終了した後に飲食できる店がない」、「せっかく観光を兼ねて訪れても、名物もなく、見るべき観光地もない」などの厳しい声が聴かれた。

 豊田市は豊田自動車と自動車関連企業がある工業都市である、そのため市民の大半が自動車関係に従事しており、通勤手段はもっぱらマイカーである。電車通勤者も少ないので、会社帰りにちょいと一杯の慣習も無く、駅中心地は早めの店じまいし、繁華街としての機能を果たしていないのだ。スタジアムでのイベント開催と同時に駅前商店街を盛り上げようという姿勢は豊田市では見られない。豊田市はあくまで工業都市であって観光都市ではないのである。

(「三州の河の住人」皆月 斜 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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