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徐々に落ちている電通株に警鐘? 海外企業の大型買収による負担危惧

 7月中旬から末にかけて電通株が売られ、さまざまな憶測を招いている。
 電通は7月12日に英広告大手のイージスグループを買収すると発表した。ところが、それ以降、株価は徐々に落ち始めたのだ。
 発表した7月12日の終値は2306円だったが、その後、2000円を切る目前まで下がってしまった。
 '01年に上場し、'02年3月に76万9000円をつけた電通株、いまではその384分の1になってしまったのだ。
 「株下落は、電通が今回買収にかける額があまりにも高いせいです。経営的に大丈夫かと投資家が危険を感じ、売りに走った。イージス買収価格は邦貨で約3955億円になる見通しで、現在の電通にとってはかなりの出費。へたをすれば経営の根幹が揺らぎます」(金融関係者)

 電通は手元プール資金から2000億円を調達し、残りは三菱東京UFJ銀行からの融資でまかなう計画。
 健全経営の証明ともいわれてきた約4000億円のプール資金(手元資金が4800億円 有利子負債が830億円で計算)を取り崩し、新たに2000億円近く借りるわけである。
 これでは財務内容の急激な悪化は避けられない。株主は「かなり無理している」とみているのだ。

 さらに株主が不安がるのは、買収するイージスグループ会社がどう転ぶかわからない企業のせいだ。
 1968年設立の中堅ではあるが、'11年12月期の売り上げ総利益(売上から原価を引いた額)は、邦貨にして1418億円。連結最終利益は、わずか約100億円強と業績は好調とはいえない。
 「電通の'12年3月期の連結最終利益は295億円。このままのペースであれば、2社最終利益合計は400億円足らず。これで買収効果が果たしてあるのか。しかも電通は現時点で、イージスの拠点の統廃合や世界で1万2000人いる社員の削減も考えていないそうです」(大手広告代理店関係者)

 海外営業比率のアップばかり重視する電通の焦りが伝わってくる。
 電通は'02年、1500億円を投じて世界3位のピュブリシス(フランス)と資本提携したが成果が出ず、今年2月に提携解消した過去がある。
 今回は、再チャレンジともとれる。買収するイージスが“新たな火薬庫の導火線”とならなければいいがと、関係者は眉をひそめている。

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