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子供をしつける親の強い味方・妖怪「ガオ」

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画像はイメージです。

 滋賀県湖東地方では、「言う事を聞かないと、ガオが来るよ」と子供をたしなめていたという。「ガオ」とは、近畿地方に生息している妖怪のことで、その容姿は頭に2本の角が生えた恐ろしい鬼のような形相で、秋田県の「ナマハゲ」に似ている。主に、親の言う事を聞かない子供の所や夜遅く寝ないで遊んでいる子供の所に現れ、おどろかす(注意する、叱る、たしなめる)だけで、特に人間に害を与えない。ガオは親の言う事を聞くよう子供達に約束させ、「お札」を与える。このお札が貼ってある家には2度とガオは現れない。そのため、やんちゃな子供を持つ親にとっては、有難い存在となっている。

『妖怪辞典』によれば、「ガオ」と いう妖怪の記載がある。これは、岐阜県、京都府、熊本地方で、妖怪のことを示す幼児語であるという説明しかない。地方によっては「ガオウさん」、「ガォーさん」、「ガォ〜さん」とも呼ばれている。

 このガオという妖怪の由来とは、戦国時代、滋賀県湖東地方の領地を近江六角氏の一党である種村氏が治めていた。現在の滋賀県蒲生郡日野町にあった近江国・日野城の蒲生蒲生氏郷(1556〜1595)に攻められるようになった。戦火に巻き込まれた領民達は「蒲生が攻めてくるぞ」と常に恐れていた。この「蒲生が来るぞ」が変化して、「ガオが来るぞ」という言葉だけが残った。やがて、「ガオ」は恐ろしい妖怪・化け物と考えられるようになり、親の言う事聞かない子供の所や夜に寝ない で遊んでいる子供の所に「言う事聞かないと、ガオウが来るよ」と言って、脅し文句に使うようになった。ガオとは、子供が怖がる妖怪の総称で、特定した妖怪をさすものではないのである。

 現在、滋賀県東近江市の商工会が主催する妖怪によるまちおこしの一環で「ガオが来るぞ大作戦」として、妖怪の装束を身に付け、子どもをしつけるために家々を廻っている。さらに、ガオをイメージした怖ゆるキャラ「東近江のガオさん」を制作し、まつりやイベントを盛り上げている。また、某バラエティー番組で、子供の寝かしつけ方法「ガオーさんが来るよ」の企画がある。「ガオーさん」は長髪で、色白で、歯と鼻腔が大きく、両手に赤いロウソクを持って、芸人が変装した怪人である。このガオーさんは、 母親の依頼を受けて、なかなか寝ない子ども達を脅し、布団にもぐりこませ寝かすものだ。ガオーの由来は怪獣の「ガオー」という鳴き声から名付けられたという。どちらもま主旨は同じであるが、何の結びつきはなく、まったく別物である。
(写真:「東近江のガオさん」)

(皆月斜 山口敏太郎事務所)

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