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ホンダ軽自動車快進撃に潜む3つの落とし穴 普通車が売れない“まるで牛丼”低価格戦争 狙われる『優遇税制』(2)

 前述のようにホンダは軽自動車の快進撃とは裏腹に、11月になって登録車の販売が急速に落ち込んだ。すなわち、普通乗用車の魅力が半減し、結果として軽自動車にユーザーを奪われたのではないか−−。その脈絡で捉えると、同社が誇るHV(ハイブリット車)さえ食われないとも限らない。

 実はホンダの前途に潜む落とし穴は、これだけにとどまらない。軽市場を席巻する『N-ONE』にしても中心モデルは130万円前後だ。HVは言うまでもなく、人気車種の登録車と比べても価格の安さがセールスポイントである。ディーラー関係者は辛らつだ。
 「値段が安い分、1台当たりの利益は減る。これでは誰だって軽自動車の販売に力が入りません。それでもホンダの軽が好調なのは、政策的に地場資本のディーラーを減らし、メーカー直資にシフトしてきたからです。メーカーの影響力が強ければ、本社の意向には簡単に逆らえません。それを承知で軽シフトを強化すれば、目先の販売実績を競う体力の消耗戦が避けられない。結果、ディーラーだけでなくホンダ本体の収益悪化は必至で、安売り競争にウツツを抜かした揚げ句に悲鳴を上げている牛丼業界を笑えなくなりますよ」

 繰り返せば、歴史的に軽一筋できたダイハツ、スズキと違って、ホンダが軽に目覚めたのは、社内体制を含めてもせいぜいこの2〜3年のことでしかない。それにもかかわらず一気に成果を出そうとすれば、低価格競争によるライバル蹴落としの甘い誘惑に駆られるのが関の山だ。トヨタの牙城が簡単に崩せない以上、伊東孝紳社長が“軽のホンダ王国”建設に向け、野心をギラギラさせたとしても不思議ではない。

 しかし、そんな行く末には、さらなる難題も見え隠れしている。好調な軽自動車を狙い撃ちするかのように、政府が『環境自動車税』の創設を検討していることだ。詳細は不明だが、これが実施されれば軽の税率が登録車と同じになり、軽メーカーには大打撃となる。
 「環境自動車税は以前からウワサになっている。そこでダイハツ、スズキは海外での生産・販売を強化しようとしているのですが、ホンダが軽に積極参入して我が世の春を謳歌しているものだから、両社は『おかげで税制面での優遇措置が予想外に早く消える』と不快感をあらわにしているのです」(前出・ウオッチャー)

 環境自動車税の早期実施、牛丼屋さながらの価格競争…。数年後、ホンダが「こんなハズじゃなかった」と悔やむ姿が目に浮かんでくる。

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