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話題の1冊 著者インタビュー 左巻健男 『病気になるサプリ危険な健康食品』 幻冬舎新書 780円(本体価格)

 −−昨今の健康ブームもあり、盛んにサプリメントの広告を目にします。

 左巻 サプリメントは1990年代後半から日本に登場し、健康食品市場は、今や2兆円を超える巨大な産業となっています。
 われわれが口に入れるものは、法的に「食品」か「医薬品」の2つに大きく分けられます。医薬品は厚生労働省が管理し、薬事法の下で認可されなければなりません。一方の健康食品やサプリメントは、法律上の定義はなく、一般食品に分類されます。サプリは医薬品ではありませんので、薬事法に抵触しないよう広告などでは「健康に良い」というキャッチフレーズで、あたかも体に良いというイメージを喚起します。でも、一般の人がそういった広告を見れば、健康になれると思いますよね。ただ、よく見ると「これは個人の感想です」などと書かれていますし、その有効性や安全性が科学的に証明されているわけではないんです。それだけではなく、中には健康被害をもたらすものまであるんです。
 人間の体に影響を与えるこれらの食品の中には、良い影響を与える反面、悪い影響を与える可能性もあります。ある健康食品を摂取し、悪い結果になると、販売業者は「それは好転反応」だと言い訳をします。これは体の毒素が出ている時期で、良くなる前の段階だと言うんです。これを信じ、使い続けることで死に至るケースや重篤な症状に陥るケースまであるんです。

 −−ただ、サプリを摂取して体調が良くなったという声を、実際に聞いたことがあります。

 左巻 体調が良いというのはプラセボ効果が大きいと思います。これは有効成分を含まない偽薬を飲んでもらっても効果が出ることを言い、この効果が起こる理由として自己暗示と、そこから生じる自然治癒力の高まりなどの心理的効果が指摘されています。
 注意する点としては、何にでも効くという「万能性」を謳っているサプリは避けた方がいいですね。また、値段が高いサプリも危険だと思います。本当に効くならば、大量に世に出回りますから価格は下がるはずです。ただ、価格が高いとついつい効くのではと思ってしまいがちです。さらに、高価な水も売られていますが、元になっているのが大抵の場合、水道水なので安全性が高く、健康を害するような副作用が出ないのでなかなか問題になりません。
 現在の研究では、摂取した方が良いというサプリはありません。私ならサプリに費やすお金でおいしいものを食べますね。
(聞き手:本多カツヒロ)

左巻健男(さまき たけお)
1949年、栃木県生まれ。法政大学教職課程センター教授。「季刊 理科の探検」編集長。著書に『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー携書)など多数。

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