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『BLEACH』第53巻、消化試合でも人気キャラの魅力を深掘り

 久保帯人が『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画『BLEACH-ブリーチ-』第53巻が、12月2日に発売された。この巻では満を持して護廷十三隊の死神達が再登場する。人気キャラクターを再登場させる梃入れ策の面も否めないものの、死神の魅力が深掘りされた内容になった。

 再登場した死神達は朽木ルキアが腕に副隊長章を付けているなど、細部がイメージチェンジしている。コミックスでは、おまけのページでキャラクター本人による変更点の解説がなされており、『週刊少年ジャンプ』読者にも新たな発見が得られる。
 護廷十三隊の隊長達の中で圧倒的な人気を誇るキャラクターに十番隊隊長・日番谷冬獅郎がいる。日番谷をフィーチャーする劇場版『The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』が公開されたほどである。しかし、人気とは裏腹に漫画本編では藍染惣右介に瞬殺されるなど意外にも活躍は少なく、主人公・黒崎一護との接点も薄かった。しかし、今回は山本元柳斎を始め尸魂界(ソウル・ソサエティ)を変えた人物として黒崎一護を認める発言で見せ場を作った。
 再登場した死神達と「XCUTION」メンバーの間で戦闘が展開される。『BLEACH』の戦いでは最初から全力を出さず、斬魄刀の卍解や破面の帰刃(レスレクシオン)など相手に圧倒されてから隠し技を出す傾向がある。そのために戦闘描写が長引き、間延びしてしまうデメリットがあったが、今回はテンポよく進む。
 その中でも六番隊隊長・朽木白哉と月島秀九郎の戦いの決着は次巻に持ち越しとなった。名門貴族の家柄の白哉は何事にも動じない上から目線のクールなキャラクターで、斬魄刀の千本桜も遠距離攻撃向きで、自らの身を危険にさらしての戦闘を好む剣八とは対照的に映る。
 その白哉も自らは手を下さずに他人の過去を操る月島秀九郎に嫌悪感を示す。白哉は破面編での第7十刃ゾマリ・ルルーとの戦いでは実力差を有しながらも、満身創痍になった。苦戦する展開は白哉らしくないと感じたものだが、自ら戦いの矢面に立つところに白哉の戦士としての美学があり、それが月島への嫌悪となって現れた。死神にとっては消化試合のようになったXCUTIONとの戦いであるが、死神のキャラは深まっている。

 同日には同じ『週刊少年ジャンプ』に連載する秋本治が『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第177巻、『秋本治SF短編集』、『こちら葛飾区亀有公園前派出所999巻 13誌出張版の巻』と3冊も単行本を発売した。
 『秋本治SF短編集』はSFをテーマにした読み切り作品を収録した単行本である。収録作品には現代の漫画家と編集者が昭和30年代の東京にタイムスリップし、伝説のトキワ荘を訪れる「時は…」など近未来の枠に収まらない作品もある。
 『こちら葛飾区亀有公園前派出所999巻』は、『こち亀』連載35周年記念企画として、集英社が発売している漫画誌13誌に掲載された「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を収録したものである。女性向けの雑誌では女性視点の話にするなど掲載誌のカラーに合わせたストーリーになっており、作者の器用さが実感できる。

(林田力)

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