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国民が知らぬ間に… 急転決着! アメリカ産牛肉ついに輸入規制緩和 TPP“フライング発車”の怪(1)

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加問題は当然、今回の総選挙の争点になるかと思いきや、国民の大多数が知らぬ間に“積極参加”へ向け、着々と外堀が埋められていたことが明らかになった。
 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会が11月6日、BSE(牛海綿状脳症)対策として実施してきた米国産牛肉の輸入規制を緩和する方針を了承したのである。

 2000年のBSE騒動を経て、政府は'05年12月に米国産牛肉の輸入を再開、対象を「月齢20カ月以下」としてきた。厚労省の審議会はこれを「30カ月以下」に緩和したいと大幅に軌道修正。今後、一般からの意見公募などを踏まえて正式決定し、政府は来年4月から実施する構え。実は米国で出荷される牛肉の9割は月齢30カ月以下(20カ月以下は全体の約1割)とされ、審議会の了承に名を借りた“政府決断”の背景には、食肉市場の開放を迫った米国の強力なプレッシャーがあったのは言うまでもない。

 それにしても、なぜ今回の規制緩和が国論を二分するTPP参加への“外堀”なのか。
 「米国は日本がTPP交渉に参加するに当たって牛肉、自動車、保険の3分野についての門戸開放を声高に唱えてきた。今回、日本政府の“大英断”で牛肉市場の9割が一気にカバーできる。これは輸入規制の撤廃と実質的に変わりません。米国にとっての懸案事項の一つがクリアしたことで、日本のTPP参加に弾みがつく。そうにらんだ米オバマ政権は内心、ニンマリしているはずです」(通商関係者)

 野田佳彦政権の外堀作戦には伏線がある。内閣府食品安全委員会の専門調査会は9月5日、米国産牛肉の輸入緩和を容認した。これには米国から歓迎の声が上がり、米農務省の報道官は「重要なステップだ」とエールを送ったうえで、「委員会の答申に基づき最終的な結論が速やかに出ることを望む」とまで踏み込んだ。

 ちなみに内閣府の食品安全委員会が、「牛肉の輸入規制を緩和しても安全性に問題はない」とのお墨付きを与えて厚労省に答申したのは10月22日のことだが、舞台裏ではこんな笑うに笑えない話さえある。
 「米通商代表部で日本のTPP参加に向けた事前協議を担当するカトラー代表補が10月の18、19日に来日した際、外務省や経済産業省、国土交通省を訪ねながら農林水産省は素通りした。農水省がTPP反対の急先鋒という事情はありますが、来日の時点で牛肉の輸入規制緩和は規定路線だったことから『寝た子を起こす必要はない』との判断だったと、今なお陰口されています」(経済記者)

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