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新堂冬樹インタビュー

 作家の新堂冬樹が映画監督に初挑戦した作品「虫皇帝」が、あす29日(土)から東京・新宿Ks cinemaで公開される。昆虫vs毒虫の“あり得ない”対決を実現させた新堂監督に、裏話や見どころなどを聞いた。

 コンセプトは単純明快。昆虫と毒虫が戦ったらどちらが強いのか?
 「カブトとクワガタどっちが強い? なんて小学生の男の子たちは言うけど、オレの場合そうした対戦に興味なかった。むしろライオンとトラが戦って最強を決めるってほうがワクワクしたけど、実際には無理。でも、虫なら実現できる…そこが基盤。頭の中で戦わせてみたら? なんて考えを取っ払って、実際に戦わせてみたわけです」
 だが“言うは易(やす)し、行うは難(がた)し”とは、まさにこのこと。虫の蒐(しゅう)集、状態の維持、体調の管理など、膨大な手間と莫大な経費がかかった。
 「虫専用の広いマンションを借りて、月に数十万円かけて数百匹を飼育してました。これが一番の苦労でしたね。最も危険で、しかも地道な作業だから(笑)。こんなリアルファイト、うち以外は参入できないでしょう。ここがポイントですよ」
 両者を透明なアクリルボックスに入れ、どちらかが戦意喪失か戦闘不能になるまで戦うヴァーリトゥードルール。反則も制限時間もない。
 「日本のカブトやクワガタは海外の毒虫より凶暴で強いんです。基本、毒虫は臆病者ですぐ逃げるのに、カブトやクワガタは相手が動くと即座に襲い掛かるから。タランチュラなどのクモ類は意外とショック死に弱いことが分かりました。カマキリもすぐ弱っちゃってダメ。注目はオオエンマハンミョウ。日本のは小さくて地味だけど、アフリカ産のコイツは凶暴で攻撃的。ネズミやトカゲをも襲う肉食昆虫なので、カブトやクワガタとはまた違った意味で昆虫界のリーダーです」

 最大の難点は虫ごとに個体差があること。どんなに猛毒を持ったサソリでも、たまたま出場した個体が弱いやつだったら、サソリそのものが弱いと思われてしまう。
 「1種類につき10〜50匹で地区予選を行い、勝ち抜いたのを出場させてます。サソリは10匹前後、日本カブトは50匹かな」
 試合は全24カード。予想を覆す勝負の連続だったそうだ。例えば国産タガメ対フラットロックスコーピオン戦。
 「タガメはフナやカエルを食べるほど凶暴な水棲昆虫だし、サソリは砂漠に生息している猛毒虫。常識的に考えたらあり得ない戦いです。この試合でタガメは陸上の戦いにもかかわらずサソリに完勝、しかも体液をチューチュー吸っていた。たぶん、世界初の衝撃映像。もし、この対戦を生で観戦できるのなら、オレはチケット代2万円出しても惜しくないと思いますね」
 最も印象深い試合は日本のカブトムシ対ダイオウサソリの一戦という。
 「カブトはサソリのハサミで角が根元から折れ、右目まで全部とれてしまった。足も植木ハサミで裁断されるように切られ、最後は2本だけになった。そんな栗マンジュウみたいな状態になっても、逃げずに立ち向かっていく。おぞましさを通り越して感動すらありました。日本人の心に響く度合いが違う」
 カブトやクワガタが外国から襲来した“敵”を相手に戦う姿は、日本の子供たちにとってまさにヒーローそのもの。
 「残酷なシーンも出てきますけど、真実の最強を決める戦いとして現実を受け止め、受け入れて欲しいですね。子供が見ても大丈夫。ヒーローがんばれ! って気持ちになれると思いますよ」

<プロフィール>
しんどう・ふゆき
1966年生まれ。小説家、芸能プロモーター。大阪府出身。工業高校中退。1998年、「血塗られた神話」で第7回メフィスト賞を受賞してデビュー。
 10代のころから闇金融に携わり、現在も金融コンサルタントを兼業。経験を生かした「カネ」「女」などの欲望渦巻く「裏社会」を舞台にしたノワール小説を書く一方、純愛小説も執筆。ファンは前者を「黒新堂」、後者を「白新堂」と呼んでいる。07年2月に新堂プロ(芸能プロダクション)を設立。公式ブログ「白と黒」(http://ameblo.jp/shindo-fuyuki/)

◎映画紹介「虫皇帝」
 新堂氏が監督・総指揮を務めたDVD「虫皇帝 POISON“毒蟲VS毒蟲”最強決定戦トーナメント第1回」(GPミュージアム)が9月25日に発売される。映画よりもすごいかもしれないバトルの数々。毒サソリ、毒グモ、毒ムカデ…。世界中から集った毒蟲界の猛者。昆虫界最強を目指し、毒をもって毒を制す闘いの幕が開けられる。

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