search
とじる
トップ > スポーツ > 球界因縁のライバル(30) ダルVS岩隈(上)

球界因縁のライバル(30) ダルVS岩隈(上)

 昨年、本格派の投手に授与される最大の勲章である沢村賞を巡り、真っ向から激突した日本ハム・ダルビッシュ有VS楽天・岩隈久志。今年は開幕前のWBCでも互いに存在感を強烈アピール。2人の戦いは、ヤンキース・松井秀喜VSマリナーズ・イチロー、レッドソックス・松坂大輔VSオリオールズ・上原浩治のように、メジャーでの対決にまで持ち越されるのか。

 日本代表が連覇した3月のWBCで岩隈は事実上のMVPに認定されている。西武のエースとして、日本人メジャーリーガーとして、2大会連続でMVPに選ばれた松坂が「岩隈君には本当に申し訳ない。MVPは岩隈君だと思っていた」と語っているからだ。昨年8月の北京五輪日本代表に後輩の田中将大が選ばれたのに、自らは落選した悔しさを噛みしめた岩隈は、WBCでの雪辱に燃え、松坂を脱帽させるほどの力投を見せている。
 一方のダルビッシュは専門の先発としてではなく、大事な準決勝から抑えとして日本代表に貢献した。先発では今ひとつだったダルビッシュには、「北京五輪といい、今回のWBCといい、日の丸を背負ってプレッシャーのかかる大きな国際舞台には弱いのでは」という声まで出始めていた。しかし、本番では本調子でなかった阪神・藤川球児に代わっての緊急クローザーとして、怪物投手ぶりを改めて発揮したのだ。

 WBCで先発・岩隈、抑え・ダルビッシュという違う立場でそれぞれの真価を披露した2人だが、昨年の沢村賞では同じ本格派の右腕エースとして真っ向激突している。右ヒジ手術から3年ぶりに完全復活した楽天のエース・岩隈が、奇しくも現在はチームの投手コーチを務める阪急・佐藤義則以来の23年ぶりとなる21勝(4敗)を記録して最多勝。防御率も1.87で1位。勝率も.840で1位。投手三冠王に輝いた。
 ダルビッシュも勝ち星こそ16勝(4敗)だが、防御率は1.88と遜色(そんしょく)はない。「沢村賞にはこだわりがある」と明言し、2年連続の沢村賞受賞に執念を燃やしていた。本格派の先発投手にとって、誰にも誇れる最高の勲章だからだ。
 沢村賞は日本のプロ野球創設期に巨人軍のエースとして活躍、第二次世界大戦で戦死した不世出の大投手、沢村栄治を記念して1947年に制定。「セ、パ両リーグの優秀な先発、完投型の本格派を対象とする。15勝以上、奪三振150以上、完投試合10以上、防御率2.50以下、投球回数200イニング以上、登板回数25以上、勝率6割以上などを基準として、沢村賞受賞者、またはそれと同等の成績をあげた現役を引退した者5名と両リーグ事務局長で組織する選考委員会で決定する」という規定がある。
 過去に1966年の阪神・村山実と巨人・堀内恒夫、2003年にもダイエー・斉藤和巳と阪神・井川慶という例があっただけに、今回も岩隈、ダルビッシュのダブル受賞の予想もあった。実際に選考委員の1人、堀内恒夫氏は「岩隈とダルビッシュの2人受賞でいいのではないか」と提案したが、座長の土橋正幸氏ら他の選考委員の意見を聞き入れ、1人に絞り、岩隈が選ばれている。
 この結果に噛みついたのが、ダルビッシュの父・ファルサ氏だ。「沢村賞の受賞条件すべてをクリアしたのは息子しかいない。おかしい」と声を大にして反論。スポーツ紙紙上で堀内氏と論争する騒ぎにまでなっている。

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ