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青森自治体の胃・大腸がん検診の“4割見落とし”は医師の当たり外れにあった

 がんに対する医療は確実に進歩していると言われているが、まだまだ撲滅するには至っていない。
 そんな中、がん死亡率が12年連続全国トップの青森県が早期発見につなげようと、県内10の自治体で行われていたがん検診の検証をしたところ、大腸がん、胃がんについて何と4割が見落とされていた可能性があることが分かったという。
 この事態に、専門医はがん検診の質に問題ありと、警鐘を鳴らしている。
 「検診を受けて“異常なし”と判定されたにもかかわらず、1年以内に発症した人は、“見落とし”とされます。その定義に当てはめた場合、今回の検証では便に含まれる血を調べる便潜血検査を行った大腸がんで42.9%、バリウムによるX線検査を行った胃がんは40%の見落としが判明した。そもそも、がん死亡率が高い青森のこと、その一因が検診の質の低さにあるのではという疑惑が出てきたのです」(医療関係者)

 全国に目を向ければ、がん検診では20%程度の見落としは許容範囲とされる。というのも、発見率を100%にしようとすると数多くの検査が必要になり、結果として健康被害を引き起こしてしまうためだ。
 それにしても、40%とは少々多すぎるのではないか。山梨医大名誉教授の田村康二氏はこう語る。
 「ずさんさに相当驚いています。しっかりした医師が診れば見落としはないはずで、40%というのは驚くべき数字。ただし患者側も、“医者はどこでもほとんど同じ”と思っているかもしれないが、それは間違いであることを知っておかなければならない。腕が悪ければ見落とすわけで、大切なことは検診の結果を鵜呑みにしないことです」

 青森県では今後、受診率を上げるとともに検診の質を高めていく取組みを進める必要があるとしているが、そもそも医師の“当たり外れ”を見分けるにはどうすればいいのか。
 「結局、医者の実力は医者が一番よく知っている。できることは、自分の住んでいる地域の中で何でも聞けるホームドクターを作ることです」(同)

 それによって、大腸がんを検診する場合はどのクリニックに行けば最も確実かを、ホームドクターに聞くのだ。
 「検診の質に関しては全国でムラがあるため、青森県の例も氷山の一角かもしれません。まず同じような検証を早期に全国区で実施し、改めるべきです」(健康ライター)

 がん死亡率が高い青森県は御存じのとおりリンゴの産地。だが、がん死亡率が低い長野県もリンゴの出荷高で有名だ。その差はいったいどこから来るのだろうか? 検診結果が良好でも安心はできない。むしろ、喫煙と飲酒さらに塩分の多い食事それに加えて運動不足…と、生活習慣の改善から始めることが大切なのではないか。

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